大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)463号 判決

民法第七二二条第二項に「被害者に過失ありたる」とは、単に被害者本人の過失のみでなく、広く被害者側の過失をも包含する趣旨であると解される(最判昭和三四年一一月二六日、民集第一三巻第一二号一五七五頁参照)から、次に控訴人ら主張の、本件事故発生についての被控訴人らの過失の点について判断すると、成立に争いのない甲第七号証および原審における被控訴人幸太郎本人尋問の結果によれば、幸太郎は、前認定のとおり、みさ子をして鉄工団地の売店にタバコを買いに行かせるに際し、右売店に行くには交通量の多い本件道路を横断する必要があることと、既に日が沈み、あたりが薄暗くなつているから、子供にとつては、右本件道路を横断することが危険であることとを十分に認識しながら、しかも、その時妻すみえも仕事から帰つて来ており、妻にも自分にも、タバコを買いに出掛けられない事情があつたのでもないのに、敢て、前示のとおり九才の子供にすぎないみさ子をして、タバコを買いに走らせたことが認められる。そうだとすると、右の点において、みさ子の父被控訴人幸太郎には、本件事故発生について過失があり、幸太郎の右過失は、被害者みさ子および被控訴人すみえの物的、精神的損害の賠償請求についても斟酌すべきものと認めるを相当とする。

(石田哲 杉山 矢ケ崎)

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